生成AIモデルに見られる「4Q」や「K」「S」などの記号は、主に量子化(Quantization)と呼ばれるモデルの軽量化技術に関連する表記です。
量子化は、大規模言語モデル(LLM)などのモデルの重み(パラメーター)を、通常使われる高い精度(例:32ビット浮動小数点数)から、より低い精度(例:4ビットや8ビットの整数)に圧縮する技術です。これにより、モデルのメモリ使用量を削減し、推論速度を向上させ、より少ないリソース(特にVRAM容量の少ないコンシューマ向けGPUなど)での実行を可能にします。
量子化に関する主要な記号の意味
多くの軽量化されたモデルファイル(特にllama.cppやその新しいフォーマットであるGGUF形式のモデル)で見られる記号は、量子化のビット数と、使用される量子化アルゴリズム(タイプ)を示しています。
1. ビット数を示す記号(例:4Q、Q4)
4Q や Q4:4ビット量子化(4-bit Quantization)を意味します。
モデルの重みを4ビットのデータで表現します。
メモリを大幅に節約できますが、8ビット量子化に比べてわずかに精度が低下する可能性があります。
Q8:8ビット量子化(8-bit Quantization)を意味します。
モデルの重みを8ビットのデータで表現します。
メモリ節約と精度の維持のバランスが良いとされ、ほとんど精度が低下しないことが多いです。
同様に、Q2(2ビット)、Q3(3ビット)、Q5(5ビット)、Q6(6ビット)などのバリエーションもあります。
2. 量子化のアルゴリズム(タイプ)を示す記号(例:K、S、M)
ビット数の後に続くアルファベットは、使用された量子化の手法やバリエーションを示します。これらは特にGGUF形式で採用されているllama.cppによる独自の最適化手法に関連します。
| 記号 | 意味 (GGUFにおける例) | 特徴 |
| K | K-Quantization のバリエーション(例:q4_K、q5_K) | llama.cpp で導入された、より高い精度を保ちつつメモリ効率を改善するための新しい量子化アルゴリズムです。層ごとに異なるブロックサイズを使用するなどの最適化が組み込まれています。 |
| S | Small のバリエーション(例:q5_K_S) | K-Quantizationの一種で、特定のブロックサイズや構成の「小さい(S)」バリエーションを意味します。 |
| M | Medium のバリエーション(例:q4_K_M) | K-Quantizationの一種で、特定のブロックサイズや構成の「中間(M)」のバリエーションを意味します。Q4_K_Mは、GGUF形式で最もバランスが良く一般的に推奨される量子化の一つです。 |
| 0 や 1 | 量子化の初期のタイプ(例:q4_0、q4_1) | K-Quantizationよりも前の基本的な量子化手法(スケールのみ、スケールと最小値などを使用)を示すことがありますが、現在はKタイプが主流です。 |
これらの記号は、モデルファイルのファイル名やモデルリポジトリの説明によく含まれ、ユーザーが自分のハードウェアの制約と、必要な精度や速度のバランスに基づいて最適なモデルバージョンを選択するための重要な指標となります。