GLM-4.6は、中国のAI企業であるZhipu AI(智譜AI)によって開発された大規模言語モデル(LLM)です。最新のフラッグシップモデルとして、特に長文脈処理、コーディング、推論、エージェント型AIワークフローの分野で大幅な機能強化が図られています。
GLM-4.6の主な特徴は以下の通りです。
主要な特徴
アーキテクチャ
3550億パラメータのMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用しており、効率と性能のバランスに優れています。
コンテキストウィンドウの拡張
コンテキスト長が20万トークンに拡張されました(前モデルGLM-4.5の12.8万トークンから増加)。これにより、非常に長い入力(例:コードベース全体や長大な文書)や、マルチステップのエージェントタスクを、一貫性を保ちながら処理できます。
卓越したコーディング能力
コーディングベンチマークや実世界のプログラミングタスクで大幅な改善が見られます。単に正確なコードを生成するだけでなく、より洗練され、人間が書いたようなコーディングスタイルや、UIデザインを含むフロントエンド開発で視覚的に整った出力を生成する能力が向上しています。
高度な推論とツール利用(Agentic Capability)
推論性能が向上し、回答生成プロセス中にウェブ検索、コード実行、計算機などの外部ツールを呼び出すエージェント機能(Tool Use)をサポートしています。これにより、複雑な問題解決やデータ分析などを効果的に行えます。
効率性の向上
コーディングや実タスクで使用されるトークン消費量が、前バージョンと比較して約15〜30%効率化されています。
執筆・ライティング
人間の好みや読みやすさのスタイルにより良く整合し、ロールプレイングシナリオなどでのパフォーマンスも向上しています。
提供形態
オープンソースとしても公開されており(例:Hugging Face、MITライセンス)、開発者や研究者がダウンロードして微調整することが可能です。
他モデルとの比較(概略)
GLM-4.5との比較: コーディング精度の顕著な向上、超長文コンテキスト入力の処理で一貫した優位性を保ちつつ、強力なエージェントタスク性能を維持しています。
競合モデルとの比較: 推論やマルチステップタスクの精度で他社の最先端モデルとの差を縮めており、特にその非常に大きなコンテキストウィンドウとエージェント機能、そしてコーディング性能が強みとされています。
GLM-4.6は、特に大規模な開発プロジェクトや、長文コンテキストが重要な業務(例:法務文書の分析、詳細なレポート作成)を扱う企業・開発者にとって、効率的で多用途なAIアプリケーションをデプロイするための強力な選択肢となっています。